こんなこと考えながら音楽教室やってます
今回の記事は、わたくし副島俊樹とLiMiC sound create代表の宮田大輔さんの対談記事です。
普段なかなか出すことのない、経営者としての視点、教室へのおもいなどをより知ってもらうため、ライターのKieさんに協力していただき濃厚な記事ができました!
それではお楽しみください〜!
☑目次
1.よろしくお願いします
2.それぞれどんな教室なの?
3.音楽教室の舞台裏
4.音楽業界を生き抜くには?
5.おわりに
1.よろしくお願いします
Kie「みなさまこんにちは!ライターのKieです。本日は若くして音楽スクールの経営者であるお二人をお招きして、経営のことやレッスンのこと、苦労話などなど…いろいろなお話を聞いていこうと思います。それではよろしくお願いします!ではまず副島くんから自己紹介を…」
副島「はい。副島俊樹です、よろしくお願いします!僕は川口・赤羽などでジャムセッション講座を中心にした音楽スクール『ライフベントミュージックスクール』をやっています。1992年1月1日生まれ、AB型の佐賀出身です」
Kie「元旦生まれのAB型ってしょっぱなからなかなかパンチきいてますよね(笑)ちなみに私と副島くんは同級生なんですよ。では、宮田さん自己紹介お願いします~」
宮田「宮田大輔です、こちらこそよろしくお願いします。1989年、同じ1月の28日生まれです。お笑い芸人の宮川大輔の『川』が『田んぼ』になった、で覚えてください(笑) 僕は『MusicSalon音雫〜おとしずく〜』という大宮にある音楽スクールと、『music school音と樹-オトトキ-』という東京・埼玉・神奈川・千葉の各拠点にてレッスンを行う音楽スクールをやっています」
Kie「お二人とも埼玉方面でやられているんですね。そしてどこかフォルムが似てる気がします。そもそもどこで知り合ったんですか?」
ー『なんか面白そうな奴』って思っていたんですよね。
副島「宮田さんの『音と樹』のところで講師をしている人と僕が知り合いで、ふたりで飲んでいたら『紹介したい人がいる』っていってお会いしたんですよね」
宮田「お互いに認識は前々からあって、『なんか面白そうな奴』って思っていたんですよね。初対面から日本酒を飲みかわしました」
Kie「飲みニケーション恐るべしですね…。それで、今回対談してみよう!という運びになったんですね。お二人が経営されているのはどんなスクールなんですか?」
副島「僕のところは、スクール名通り『音楽ライフをよりいいものにする』をコンセプトにレッスンをしています。実は僕のスクール、音楽経験が0っていう人はほぼいないです。中級の人が、プロになりたい、音楽の質を高めたいっていう要望で来るんです。かつ、セッションをやりたい人が100%。セッションって、敷居が高いイメージがあるし、飛び込むのも勇気がいりますよね。そういったイメージを払拭するために、初心者向けのイベントをよく行っています」
宮田「僕のところの『音雫』は、土地柄もあるとは思うのですが中高年の方に向けた音楽サロン、という表現がぴったりだと思います。何か趣味を持ちたいと言って来る方がほとんど。なので、音楽経験はない方が圧倒的に多いです。その方々の立場になってカウンセリングすることに力を入れています。他音楽教室と肌が合わず、巡り巡ってうちにきたという方がありがたいことに多いですね」
副島「そうなんですね~。それでいくとうちは、他のスクールに行きながら来るひとが結構いますね。うちはジャムセッションに特化しているので、ジャムセッションではないスタンダードの音楽スクールに通いながら、ちょっとジャムセッションかじってみたいからうちに来る、みたいな」
2.それぞれどんな教室なの?
ー音楽ライフを加速させるために、イベントは今後もやっていきたいですね
Kie「お二人のスクール、まるで逆ですね(笑) それぞれ色があって面白そうです。どういった音楽スクールを目標にしているんでしょうか?」
副島「何かに特化したスクールでありたいと思っています。さきほどお話したジャムセッションだとか。他にはない何か特化したものを作っていって、その中から面白いことをやる人がたくさん出てきてくれたらいいなと思います」
宮田「そうですね、カラーを持つことは大事だと思います。僕のところは生徒さん中心に回っているので、『発表会をやりたい』という声があったらやるし、例えば『チキンをギター10人でやりたい』と言われてもやります(笑)」
副島「ユーチューバーみたいですね(笑) それでいうと僕たちは、生徒さんにいろんな世界を知ってもらいたいので、自分で企画してイベントをやってます。この間発表会をやったんですけど、生徒さんをごちゃまぜにしてバンドを組んでもらって、いつもやっている曲だけど『ライブ』という名目で演奏してもらいました。『セッションの次にはライブがあるんだ』って、なかなか生徒さんだけでは気付きにくい。そういった音楽ライフを加速させるために、イベントは今後もやっていきたいですね」
Kie「ライブの楽しみって、ライブをしてみないとわからないですもんね~。実際レッスンする講師の方はどういった方なんでしょうか?」
副島「僕のところは、セッションができるようになったらどうなっていくか、その先にどんなことが出来て、どんな楽しみがあるかまで教えてくれます。実際のレッスンでも、その場で生徒さんと講師が疑似セッションをする等、とにかく生徒さんに実践をしてもらえるよう講師の人には工夫をしてもらっています」
宮田「僕のところはレッスンもそうですが、カウンセリングに力を入れているので、小さい子の扱いがうまい人、マーケティングがうまい人…など、それぞれの生徒さんに合わせ、それぞれの講師が自分にしかない強みを持った『講師のデパート』を作れるようにしたいと思っています」
3.音楽教室の舞台裏
ー音楽スクールって簡単にできそうなイメージがありますが、めちゃめちゃお金かかります。
Kie「ところで、お二人のスクールは結構順調に見えますが、苦労されたこともあるんでしょうか?」
副島「あるあるですけど、開設してから新規の人が半年くらいは0でした。ビラを作って配りに行って、すごい日焼けしました…。今でもビラを入れやすそうなポストを見ると反応してしまいます(笑)」
宮田「ビラは必ず通る道ですよね(笑)」
副島「とにかくビラを捌けさせたくて、廃墟みたいなとこまで行きましたよ。途中から持っているビラが減っていくことに達成感を感じるようになってしまって、これはアカン!ってなって(笑)」
Kie「私も元営業だったのでその気持ちめっちゃわかります…。宮田さんのところはどうでしたか?」
宮田「僕のところは、教室を借りるのが大変でした。ドラムの設置が風紀的にだめだとか、いろいろ足かせがあって。ドラムはダメだけど、和太鼓はOKなんですよ」
Kie「え!?音量的には和太鼓の方がありそうですけど…」
宮田「年齢が上の方だと、やっぱり『エレキギターを持っていると不良』みたいなイメージを持っている方が多いので、やっぱりドラムセットがあると、『ヤンキーな、頭ツンツンしてる人がやるんでしょ!?』みたいなイメージがあって、クレームに繋がりかねない。オーナーさんからしたら、ドラムセットがそこにあるだけでリスクになるんです。あと、音楽スクールって簡単にできそうなイメージがありますが、めちゃめちゃお金かかります。賃料とか、機材費とか…」
ーブログで釣りみたいなタイトルをつけてた時はありました。
Kie「そうなんですね!ところで今、YouTubeとかで『〇〇の簡単レッスン!』なんていうレッスン動画がよくありますね。ああいうのは教室の宣伝に効果があるんでしょうか?」
宮田「結構多いですよね。僕もやってます。動画で自分の声や顔を公開して、認識してもらい、親近感を持ってもらえるのでなかなかいいと思います。おおやけに出すことによって、『音楽をやりたい』とは特に思っていないけれど、心の奥底では少し興味がある、といった方の層を引き出すことはできるんじゃないかと思います」
副島「僕はセッションの様子をFaceBookなどに投稿しています。セッションの雰囲気を知ってもらえるし、宮田さんが言っていたように親近感を持ってもらえるし、SNSは『特に目的はなく見ている層』なので、アプローチとしてはいいですよね」
Kie「やっぱり今の時代、SNSは効果的なんですね。でも、炎上とか、中傷のコメントとか少し怖くありませんか?」
宮田「逆に、炎上目的で動画をUPしたことはあります(笑) 音楽スクールの内情を暴露する記事をUPしたりとか」
副島「僕もあります。一時期炎上を狙って、例えばその『男子は見るな!』みたいな、ブログで釣りみたいなタイトルをつけてた時はありました。あとはセッションホストのすべてを語る、とかいう記事をUPしたりとか。今となっては少し調子に乗ったなと反省してます(笑)」
Kie「お二人のスクールは結構HPに力を入れているイメージがあるんですが、何か工夫されているのでしょうか?」
副島「ブログとかはやっぱり、閲覧数にはこだわりますよね。どの時間帯にUPしたらいいか、どんな内容がいいか、チェックするようにしています。とにかくブログには力を入れてます。」
宮田「僕もSEO専門の人にブログを見てもらったりしています。まずこれくらいのコンテンツがないと話にならないだとか、辛口なアドバイスをもらってます(笑) 最近ブログはけっこう主流になってきていると思うので、力を入れていきたいですね」
4.音楽業界を生き抜くには?
ーミュージシャンと一言にいってもその仕事内容は多様化している現実を受け止める。
ー音楽家でもこの先どうしていきたいかって聞かれたら、答えられない人って結構多い。
Kie「これからこんなことをしていきたいなぁと考えていることはありますか?」
副島「ジャムセッションを、企業の研修とかでも使えるんじゃないかなと最近思っています。というのも、結構殻に閉じこもっている人が多いから、セッションで精神を開放的にできるんじゃないかなあと。セッションって殻に閉じこもってたら絶対できないので。」
宮田「副島くんが言った通り、他業界とのコラボ的なものは何かやってみたいなと思います。例えば、段ボールでカホンを作ろう、みたいなものとか」
Kie「では最後に、音楽業界を生き抜くコツや、心がけていることがあったら教えてください」
副島「まず、音楽で人のためになることをやらなければいけないと僕は思います。僕の尊敬する先輩が、“客観に徹してこそプロ”だと言ってました。そしてミュージシャンと一言にいってもその仕事内容は多様化している現実を受け止める。もう演奏するだけがミュージシャンという時代はとっくに終わってるんです。その上で何をやりたいか、何のために音楽をやっているのか自覚することじゃないかな。あと、ミュージシャンは自分の持ってる技術や魅力をお金に変えていく能力がないと、絶対食っていけないです」
宮田「音楽とビジネスを関連化している人は少ないので、企業戦略を持つべきじゃないかな。音楽家でもこの先どうしていきたいかって聞かれたら、答えられない人って結構多い。音楽を通して何をしてあげられるのか、見定められたらいいなと思っています。それに、音楽業界自体が縮小してきていて、戦うべきは音楽業界内ではなく、対異業界だと思っています。僕がリサーチした情報では昔に比べて生徒数が半分以下になっていて、昔の栄光はほとんど消えつつある。音楽業界にいる人たちみんなが結束して、他業界と戦っていければいいなと思います」
Kie「お二人とも、本日はありがとうございました!」
5.おわりに
最後までお読みいただきありがとうございます!今回の対談記事いかがだったでしょうか?
普段はなかなか知ることのできない音楽教室の経営者、講師同士のおもいをシェア出来たと思っています。
僕としても宮田さんの講師へのプロ意識にはとても刺激を受けます。
今回シェアした僕たちのおもいを、これからレッスンを受ける方、受けている方、周りの同業者のみなさんにも知って欲しいと思い今回の企画を思いつきました。
今後もこういった企画は続けていこうと思いますので、お楽しみにー!
○この記事に出てきた人たち
ギタリスト・ライフベンドミュージックスクール代表・SLOTH MUSIC所属。
ブルースフィールで高らかに歌うギターと、情景が思い浮かぶソングライティング。
教室経営にも力を入れ、主にセッションに関するレッスン・ワークショップを多数行っている。
LiMiC sound create代表
アーティストではなく”教える専門”音楽講師。
音楽ワークショップの定期開催や講師人材育成、イベント企画、地域活性化を数多く行う。
「MusicSalon 音雫〜おとしずく〜」に続き、
姉妹店「music school 音と樹-オトトキ-」
打楽器専門Webショップ「Make a Happy」
イベント企画運営「LiMiC records」
ハンドメイドコラボ雑貨「otoniwa」を開業。
日本大学芸術学部文芸学科卒。某企業に勤めながら、ライターやカメラマンとして活動中。
幼い頃からピアノを習い、シンガーのバックをつとめることもある。
好きなものは小説と甘いもの(歯医者さんから止められている)とペットの柴犬「いちご」。
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