ジャムセッションが怖くて怖くて仕方がない!
そんな時期が僕にもありました、ベース科講師の恩田です。
今回はそんなジャムセッションにおいてベーシストが守るべきルールについて、それからその上で楽しむ方法について、僕の思うところをお話ししたいと思います。
▍1.パターンを守る
1度出たリズムパターンを限界まで守ることです。
パターンを守り続けることでビート感が生まれますし、ベースだけである程度ビート感が出ていればドラマーへの負荷もそれだけ小さくなり、ソリストも安心してソロに集中できます。
目まぐるしく変化するセッションに対する憧れもあるかもしれませんが、変化したことに気付いてもらうためには変化しないということも同じくらい大事なことだと考えています。
“パターンを守る”と聞くと守っていてばかりでつまらない印象ですが、これは同時に攻めにも繋がるのです。
そんなパターンを守りながらも攻める、楽しむ方法を次にまとめてみます。
1-1.予めいくつかパターンを用意する
当然といえば当然なのですが、一曲通してずっと同じトーン、同じラインを弾いていれば良いという曲はそうありません。
そこで例えば、落とすときのパターン、通常のパターン、盛り上がった時のパターン、の3パターンを用意しておきます。
変化させるべき時が来るまではこのパターンをひたすら守ります。
すると変化させた時にしっかりと違いが出るので共演者にも伝わりやすく、結果的に良い方向にアンサンブルを導くことに繋がります。
1-2.ベースイントロを提案する
ベースパターンが上手く思いつかない場合や手札の数に自信がない場合、手札のベースラインでベースイントロを提案するのも1つの手です。
イントロですからその分緊張感もありますが、自信を持って自分の思うベースラインを提案できます。
また、イントロからアンサンブルに積極的に参加することで、例えメロもコードも弾いていなくてもその後のサウンドを引っ張っていきやすくなるという利点もあります。
当然、このイントロで使用したパターンも限界まで守りましょう。
1-3. ドラマーのパターンに積極的に合わせていく
これはちょっと上級者向けです。
ドラマーが原曲を知っていて同じように叩いてくれれば良いのですが、そんなケースばかりではなく、原曲を知らなかったり、意図的にドラムパターンを変えて来る場合も多くあります。
用意してきたパターンがドラムパターンと上手く噛み合わない、かつドラマーも合わせに来ない!
そんなときにはその場でパターンを作っていかなければなりません。
このとき注目するのが、バスドラムです。
バスドラムと同じところに音を入れていくと自然とベースラインぽくなるものです。
▍2.フィルインは気持ち少なめにする
バンドでは複数の人間がそれぞれの立場(パート)で考えながら演奏をします。
それ故、音と音でぶつかってしまうこともしばしば…。
そんな状況でベースがフィルインを入れまくってしまったらどうでしょう?
アンサンブルは差し詰め音の洪水、せっかくのメロディラインも他のパートのフィルインも、もちろん自分のフレーズさえも埋もれてしまいます。
それでは何も誰にも伝わりません。
なので、フィルインは気持ち少なめでタイミングを見計らって弾くようにしましょう。
とはいえ、フィルインは裏方のベーシストにとっては貴重な、言わばアピールチャンスです。
少ないフィルインでどう楽しむか、その方法も下にまとめました。
2-1. 大型フィルインを用意してみる
フィルインは通常2拍程度に短くまとめますが、8拍の大型のフィルインを用意します。
通常の4倍も長さがありますから、聞いていても派手で印象に残りやすいです。
これを例えば後テーマのサビ前の2小節などで弾けば、例えそれ以外が地味だったとしても、しっかり存在感をアピールできると思います。
2-2. ソリストのフレーズを真似てみる
これはちょっと慣れていないと厳しいかもしれません。
準備なしでもできる、まさにフィルインの現地調達です。
ソリストがソロをとっているとき、そのフレーズで印象的だったものを真似てフィルインとして使うという方法です。
これをやるためには周りの音をしっかりと聞いていないといけませんが、そのためには自分のフレーズに集中しきってしまうのではなく、ある程度余裕を持っていなければなりません。
ここで1つ目のルール
“パターンを守る”
というところに繋がります。
同じパターンを繰り返している間は、多少の余裕ができます。
この時、安心しきって頭を休めるのではなく周りの音を聞くようにしましょう。
フィルインのアイデアは意外とたくさんあることに気がつくはずです。
▍3.まとめ
これまでの説明で、上の2つのルールの中でもとりわけ”パターンを守る”というのが重要であることがわかったと思います。
ベースはメロディをとるわけでも、コードを張るわけでもありません。
役割は上物とドラムのサポートです。
にもかかわらず、音を間違えればハーモニーが根本から崩れ、リズムがヨレてしまえばビート感が狂います。
単純でありながら繊細さを要求される楽器だと思いますが、それ故に楽しい!
話すことも大事ですが一歩下がって聴いていることの方がもっと大事だと考えています。